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映画“タイタニック”からみる人生とは※あらすじ無しのネタバレ&独自解釈

もはや未だに観たことのない人がいるのかとすら思える不朽の名作タイタニックだが、自称映画好きを謳う私はこの歳(20代前半)になって人生で初めてタイタニックを観た。

小さい頃に観たという友人にタイタニックへの熱を語ったところ、小さかったからあまり覚えてない、ただ泣けることだけはわかる。レオナルドディカプリオかっこいいよね。と言われ大きなショックを覚えたので映画好きの皆さんへ勝手ながら感想とタイタニックへの愛をぶつけさせていただこうと思う。

 

https://movies.yahoo.co.jp/movie/83641/

(↑とりあえず基本的なサイト貼る)

 

観たことはなくともストーリーを知らない人はいないであろうほどの名作なので、簡単にあらすじを...などと野暮なことは飛ばして、とにかく観て思ったことを語る。

 

私はこの作品を「今」観てよかったと心の底から思う。幼い頃に観ていたらこの映画の良さもわからず、感じ方も幼いままになっていたかもしれない。小さい頃に観たからもう観なくて大丈夫、なんて思ってこんなに素晴らしい作品を幼少期の印象のままの記憶に留めていたかもしれないと思うと、なんというか、恐ろしい。

この20代前半の、様々な人と出会い様々なことで悩んで様々な思考に揉まれる時期にこの映画を観たのはなにかの巡り合わせかもしれないと思っている(本当に)。

ジャックを演じた頃のレオナルドディカプリオには本当に、誰もが一度は恋したのではないだろうか。そのディカプリオをはじめとする俳優陣に、素晴らしいほどマッチした90年代前半のイギリスの雰囲気。25年前の哀愁漂うアナログ感溢れる画質、画面。すべてがこのタイタニックという作品を、不朽の名作として作り上げたのだと思う。

物語前半は、すごく上品なラブロマンスという感じで進んでいく。イギリス上流階級の人々の着こなしは美しく、それぞれが醸し出す仕草さや嗜みに、当時のイギリスの趣を感じることができる。

前半のこの時点で私が思ったことは、「お金が全てではない」「お金=『幸せ』ではない」ということ(このことに関しては、多くの映画で伝えたいメッセージとして取り上げられることが多いために、これから映画の記事では何度も言及すると思います。そして私は、これに関してはその都度しっかり語るつもりです。なぜなら私は本当にそう思うし、大げさではなく全ての皆さんにそう思って欲しいから)。

画家を目指す貧乏な青年ジャックと上流階級の娘ローズ。肩書きだけ見れば多くの人がローズの方が幸せだと思うだろうが、この映画ではジャックの方が幸せで、ローズは不幸だと思わざるを得ないような描写をしている。十分なお金がなくとも、夢に向かって、自由に、周りの人々と心の底から「今」を楽しむジャックと、上流階級のルールに縛られ好きな相手との恋愛も許されない、自由のないローズ。どちらが幸せかなんて一目瞭然だ。

タイタニックといえば、のあのシーンを観たときは感慨深いものがあった。

 

後半は、前半のラブロマンスの雰囲気から一変、パニック要素が多くなっていく。氷河に衝突、そこからは怒涛の展開だった。沈んでいく船体の中で、次々と2人に襲いかかる危機から、ひたすらにローズを守り抜くジャックの姿には心を打たれる。船内の客室には海水が満ち始める。死を悟った幼い子の母が童話を聞かせて子どもを寝かしつけるシーンに、私は胸が締め付けられ涙が流れた。心が痛いという表現がここまでしっくりくることがあるだろうかというほどだった。沈没する、というパニック状態の中でも音楽を奏で続けた音楽隊、実際の話だというから驚きだ。愛することを最後の最後までまっとうする。稚拙な表現ではあるが、純粋にかっこよくて素敵だと思った。彼らは幸せな最期だったのでは、と思う。人生最期の時に、自分の愛することをできていたのだから。

ジャックの最期、私はそのシーンを思い出すだけでも涙が出るくらい、胸が痛くも、言葉にできないほど儚く美しいもので、お気に入りのシーンだ。

最期のジャックの言葉通りにその後の人生を歩んだローズは、本当に幸せだったと思う。映画のラストシーン、まるで伏線回収のように、ジャックが体験してきたことを真似するかのように経験していったことがわかるローズの写真。ジャックが最後に遺した言葉通り、子を産み成長を見届け、そして暖かいベッドに横たわっているローズ。これをどう解釈するかはそれぞれだと思う。

 

この映画では、実際に起きた悲惨な事件を基に身分違いの2人を通して、「人生」「愛」について強いメッセージ性を感じる。

私にとって愛とは、「見返りを求めず相手に尽くすこと」だ。沈みゆく船の中で、自身の命を顧りみずお互いを守り合うジャックとローズの姿にその意味を見た。船上で出逢いそして突然の別れを迎える2人だが、一生のうちで、相手のために自らの命を捧げられるほどにまで愛することのできる人に出会えたことが、2人にとって人生最大の幸せだったのではないだろうか。ジャックにとってローズは愛を教えてくれた人、ローズにとってジャックは愛と人生を教えてくれた人。2人で過ごした時間は限りなく短いものだったかもしれないが、その中で2人はお互いを補い、支え合い、一生分の愛を知ったのだと思う。

 

前回の「OLD」のレビュー記事(↓)でも人生と時間について言及したが、タイタニックでも同様のことがいえる。

 

nesumerb.hatenablog.com

時間は有限で、人生は短い。その中でいかに人生をまっとうするか、充実させることができるかが、大きな違いを生む。やりたいことがあるのに、現実に囚われて実現できていないことはないか。自分が置かれた境遇や環境に甘んじて立ち向かうことすらしていないのではないか。できないんじゃなくて、「できない」と決めつけて諦めているのではないか。もしもそうなら、そんなにもったいないことはない。自分に突きつけられている現実に歯向かってでも、やり遂げなければいけないことがある。このようなことを、ジャックやローズを通して、観る人に伝えたかったのではないだろうか。と私は解釈している。

ジャックの最後の言葉通り、沈没事故の後に自由に暮らしたローズは、終始穏やかな面持ちをしている。他の誰でもない、ジャックのおかげで。年老いても変わらない美しい強さが垣間見える。

まるで人生のタイムラプスを見せられているかのような感覚の映画だ。3時間という、映画にしては長い尺だが、それすらも感じさせないストーリー構成。公開から25年近く経った今でもその名を知らない人はいない名作だけに、この映画から考えさせられることはかなり多いと言える。

観た後の余韻は凄まじく(私のように感受性の強い人は特に余韻が酷いと思う)、私はこれから何をして人生をまっとうしようか、限られた時間をどう使おうか、そのようなことを考えた。これからの人生の大事な場面や人生に迷った時、大切なことを思い出させてくれる、これからも語り継がれていくであろうまさに「不朽の名作」であることに間違いない。

 

nesumerb